10年前に住んでいた街に久々に訪れました。
近くで用事があって、もう21時も過ぎていたけれど、思わず帰り道とは反対向きの電車に乗って。
今住んでいる街より、夜が暗くて静かで(といっても上京したてのころには、都会に思えたけれど)、それが心地よくてよく散歩をしていたのを思い出しました。
なににあんなに悩んでいたのかは思い出せないけれど、なんだか暗い気持ちでぐるぐる歩いていた気がします。
住宅街の小道にわざと迷い込んで、見知らぬ人の庭で暗闇に浮かぶ観葉植物を眺めたこと。
踏切をゆっくり渡ったこと。
大学の横の暗い道で、月明かりに涙がにじんだこと。
大学時代、友達もいて、バイトも旅も勉強もして、楽しかったような気がしていたけれど、なんだかけっこう暗いことを考えている時間もたくさんあったなと、久々に思い出しました。笑
サリンジャーとエヴァとSyrup16gにはまっていたし、時間もあったし、厨二病を満喫していのかなという気はします。
当時は、なにもなくても暗い気持ちを持つことに、価値を感じていたところがありました。暗さに身を沈められる、若さゆえの体力や無知を、失くしたくないと思っていたのです。
そう考えると、この10年でずいぶんポジティブでさっぱりした人になったのかもしれません。
自分が元気でいることに価値を感じて、楽しく生きていきたいと、心から思います。
でも一方で、ちゃんと悲しみに向き合って、涙を流さないといけないときもある。それも、大人になる過程で、学んできたことです。
今日は、ある人を悼んで、涙を流すべき日でした。
10年前、もう理由は忘れたけれど、涙でにじむ月を見上げた暗い道。
そのときとは違う理由で、久々に涙を流しました。
ふと思い立って訪れたのですが、涙を流せる場所に来れてよかったのかもしれません。
まだ呆然としてしまうけれど、悲しんで涙を流すことも、意味があると信じています。
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