「好き嫌いはわかれるかもしれないけど、私はエッジがきいていて、すごくいいと思った」
そう展示の趣味が合う友人に勧められて、期待していたのですが、想像以上にエッジがきいていました。笑
なかにはいるとそこは廃墟。
トタンの壁に、手書きの手紙。(けっこう字が汚い)
戦艦の模型、古地図の掛け軸……。
その先にはいくつもの小部屋。
部屋ごとに貼られた手紙は、すべてこんなふうにはじまっています。
私は×××だ。今日、世界は死んだ。もしかすると昨日かもしれない。
×××には、手紙の書き手の役職が、それぞれ書かれています。
養蜂家、政治家、古生物研究者……など、手紙は全部で33。
それぞれの立場から、どんな経緯で世界が死んでいったのか書いた手紙なのです。ときには、自分がしてきた仕事や研究を後悔する言葉も。
手紙のまわりには、彼らを思わせる骨董品のようなものが飾られています。
養蜂家の服、歴代米国大統領が表紙の雑誌、薬品など。
古びた人形や倒れた軍人のマネキンのよつななものもあって、夜に1人で来たくはないかんじ……。
手紙のなかの世界滅亡シナリオは、まじめに社会やビジネスを考えたらわりと陳腐な気がするし、置いてあるもののセレクトも一歩間違えたら厨二病だけど、ただただ次はどんな人の世界なんだろうと、飽きない展示でした。
それはきっと、同じ言葉ではじまる手紙を軸に、いくつもの世界があるというコンセプトの面白さがあったから。
そして、それぞれの世界観の徹底ぶりに引き込まれたのだと思います。
トタンの壁。置いてあるアンティーク。30分毎に歌って踊るロブスター。
暗くて、意味がわからないところもあるけれど、美大の文化祭のような鑑賞者が置いてきぼりになる意味のわからなさではないところが、トップアーティストなんだろうなぁと、ひしひし感じました。
それぞれの手紙の字が違うのも気になっていたのですが、あとで説明書きを見たら、それぞれの手紙のイメージに合わせた有名人が代筆していたようです!
渋谷慶一郎、原研哉、ロバート・キャンベル、川村元気、加藤浩次など……!
文明の終わりは肉筆で書かれねばならない。文明が終わる時こそ、その始原の姿が現れるのだ。
なるほど。
世界が終わる系の話は、不安が煽られるかんじがしてわりと苦手なのですが(明るい未来を描きたいと思っているので笑)、それをもってしても、久々にずっしりと刺激を受けるいい展示でした。
作り込まれた世界観は、大好きです。
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